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高森明勅
2023.10.29 08:00皇統問題

皇位継承問題、真の解決ではなく目先だけの決着を急ぐ危うさ

皇位継承問題の取材を続けている記者から連絡を受けた。
岸田政権がこの問題の解決に熱心だとはとても思えないという。
これまで、歴代内閣が「最重要課題」と連呼しながら事実上、
放置して来た拉致問題と同じように、口先だけではないか、と。

なるほど、現場の記者の受け止め方はそうなのかも知れない。
しかし、私の感触は少し違う。
むしろそうであればこそ、真の問題解決とはほど遠い手前のところで、
“目先だけの決着”を急ぐ虞(おそ)れがあるのではないか。

○今年2月の自民党大会での岸田首相の呼びかけ→
○9月の役員人事での萩生田政調会長への指示→
○萩生田氏の「受け皿」表明→
○10月20日の額賀新衆院議長の記者会見での発言→
○同23日の所信表明演説→
○同27日、自民党が皇位継承策を検討する総裁直属機関の
新組織を設ける方針との報道。

以上の経過は、これまでに例がないことだ。
だからといって楽観はできない。
衆院解散という不確定要素を除き、先に言った危うさを否定
できないように思える。

その場合、最悪のシナリオは有識者会議報告書の提案を丸呑みすること。
特に、内親王·女王がご婚姻後も皇族の身分にとどまられながら
配偶者やお子様が「国民」というプランは、決して認められない。

厳格であるべき皇室と国民の区別をないがしろにし、
天皇·皇室の日本国·日本国民統合の「象徴」としてのお立場と
決定的に矛盾し、当事者の“家族としての一体性”を破壊する、
最低最悪な制度だからだ。

やっと事態が動き始める可能性が見えて来た今こそ、
皇室を敬愛しその弥栄を願う国民の真剣な取り組みが求められる。

追記
10月27日に公開のプレジデントオンライン「高森明勅の皇室ウォッチ」で、
いよいよ迎えた目の前の重大局面について分析した。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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